キャンプ写真入門:ホタルの撮影その1

へり

2016年06月16日 01:43

 素人ながら写真撮影方法に関するネタをいくつかアップしたい。

 いずれも一眼レフを始めたばかりの初心者向けの記事で、初心者と一緒に撮影に出かけたらこんな内容を話すだろうなという観点でまとめてみたのでエキスパートな方はスルーでお願いします。(ただアドバイスがあれば参考にさせて頂きたいのでコメントお願いします。)

 書き始めると、スラスラ書けてしまい、えらい長文になってしまったので数回に分けてアップするが写真を撮る時にずいぶんいろんな事を考えているもんだなぁと自分自身も良い振り返りになった。


1.蛍撮影概要
蛍の撮影は星空の軌跡を撮るのと似ており、①バルブ撮影で1時間程シャッターを開けっ放しにして一枚の写真を撮る方法、②カメラ内多重露光機能を使って撮る方法、③30秒程度のシャッター速度(SS)で連続的に撮影した複数の写真をPCで合成する方法などがある。

 今回の記事は③の解説である。③と言っても人によって方法は様々。正解はいくつもある中で、個人的な方法を記載するが、露出は理論。そのF値やSSの設定には必ず根拠があり、その点を中心に説明したい。


 蛍撮影はスマホの画面やLEDライトなど、他人の光が入ってしまうと失敗写真になってしまう為、周りに居る人が光を照らしていない事が大前提になる。①や②の方法では素人にフラッシュ撮影された瞬間に自分の写真は終わってしまう。

 撮影マナーを知らない人が多いキャンプ場で①や②の撮影は非常に困難であり、③の方法で撮らざるを得ない。


 様々な撮影ジャンルがある中、私の知る限りホタル撮影ほどカメラマン達が殺気立ち、一般客とのトラブルが絶えない現場も珍しい。1ヶ月ほどしか無いホタル撮影可能な期間、撮影機材に多額を投資して、遠方遥々足を運び、一般客のスマホの光で全てを台無しにする。それがホタル撮影。ホタルの有名ポイントはカメラマン達に知り尽くされている。そこはまさに戦場、覚悟して欲しい。



2.準備物
・バルブ撮影が可能なカメラ。一眼レフかミラーレスが一般的。
蛍撮影に高価なカメラやレンズは必要無い。エントリークラスの一眼レフで十分、レンズもキットレンズでOK。また今回の方法はISO感度を上げずに撮るので10年前の古い機種でも問題無い。

・三脚
 絶対必須、カメラとレンズの重量に合ったものを。

・カメラを覆う事のできる布(遮光性のあるカッパなどで代用可)

・連続撮影の設定が可能な電子レリーズ(カメラ本体に連続撮影機能が含まれていれば不要)

・マスキングテープやガムテープなどのテープ

3.カメラの基本設定(Canonのカメラ、用語を前提に記載)
・AF補助光を必ずOFFにする。暗闇でピントを合わせる為に赤く発光する補助光がどのカメラにも付いている。これを必ずOFFにする。もし撮影中に光らせればその場にいる多数のカメラマンの写真を一瞬で全滅させる破壊力だ。苦情の罵声が殺到する事になろう。


・フラッシュも同様、絶対に発光させない様にOFFにしておく。

・「長秒時露光ノイズ低減」をOFFにする。この機能をONにしておくと1秒以上のSSでカメラ内ノイズ低減処理が発生し、シャッターが切れない待ち時間が発生する。連続的に撮れなくなるのでOFFにする。


・ファイル形式はRAWで撮影する。蛍の撮影中にホワイトバランス(WB)などを調整するのは非常に困難。あとでPCで調整できるように必ずRAWで撮っておく。

・WBはオートでは無く、「太陽光」にする。オートにしておくとホタルの光の多さ次第で自動で色合いが変わってしまう。RAWで撮っておけば後から修正できるが、面倒なので固定しておく。

TOPの画像は良く見ると、緑の光だったり、黄色の光だったりするのがお分かり頂けるだろうか?これは今回WBオートで撮ってしまった失敗事例である。


 真っ暗闇の撮影でライトも照らせないのでカメラはブラインド操作が必要になる。せめて絞り、シャッター速度、ISO感度の3つは手さぐりで操作できるように練習しておいた方がいい。



4.撮影方法

①背景の撮影

 背景の写真とホタルの光は別々に撮影する。この撮影方法の最大の特徴である。露出をそれぞれ切り分けて考える事ができる。この時点で三脚でカメラを固定し構図を決める。

 夕暮れ真っ暗になる前に背景を撮る。この時マニュアル撮影をする必要は無い。背景がボケていると写真が締まらないので絞り優先オートを使って背景がパンフォーカス(写真の隅々までピントが合っている状態)になるように絞り込んで撮影する。

 またノイズを防止する為にISO感度は100~800の範囲で撮る。夕暮れの撮影は暗いのでISOオートにしておくと、感度は上がってしまいがちだ。せっかく三脚を使うのだから、ISO感度はマニュアルで固定しよう。

 下の写真は水の動きを幻想的にしたい意図もあり、シャッター速度を長めにSS1.3秒 F13 ISO100で撮影している。絞り優先オートなので、もちろん夕暮れ時の暗さによってSSは変わる。



 この写真を撮ったら、ここで合わせたピントを使い続ける為フォーカスをマニュアルに切り替え、テープなどでフォーカスリングが動かない様に固定する。ズームレンズの場合はズームリングもテープで固定する。





 もうカメラの位置は撮影終了まで1mmも動かせない。この写真にホタルの光を重ねていくためである。

  

 合成する際に明るいところが残る比較明暗合成という方法を使うので、写真の明るい部分はそのまま残る。暗くなる前に撮影している為、この写真の明るさが最終的な写真全体の明るさになるので、夕暮れ時に自分のイメージに合う明るさで撮影する事が重要だ。

  また構図に星空を入れない事。星は動いているので、星の軌跡上、連続的に撮影した写真を全て使わなければならなくなり、ホタルの光の選択が出来なくなる。全て使うのであればいいが、かなりしつこい写真になってしまうと思われる。


 ホタル撮影で写真の個性を出せるのは、この背景の構図ぐらいしか無いのも大きな特徴だと思う。下の写真の構図の考え方は下記。


 上の写真を見せられて、どうしても注目してしまうのは滝の水の流れだと思う。滝をど真ん中に配置しても特に悪くは無い。幻想的な水の動きは伝わる。これでもいいかも知れない。


 しかし滝を写真の中心からやや右上に配置してみた。滝の下流をやや多めに配置する。こうするだけで滝の写真から川の写真になり、奥行が出る。滝は写真のメッセージそのものでは無く、蛍の脇役として、あくまでも写真の装飾アイテムとして使うことにした。


 
 
  


 ここまでをまとめると

 ・背景を十分に絞ってパンフォーカスの写真を撮る。
 ・ISO感度を上げない。
 ・写真の背景の明るさはここで決まる。
 ・ピントと構図をこの段階で決定し固定する。 


 ちなみに昨年の撮影では この写真を撮った後に見知らぬ子供に三脚を蹴っ飛ばされてしまい、背景が使えなくなった。背景が使えなくなると、次回②ホタルの光の撮影でISO感度を上げなければならなくなる(=ノイズの多い写真になる。)し、暗闇の中で改めてピントを合わせるのは非常に困難なので三脚の位置は死守しよう。

 ちなみに昨年の写真、ブログサイズだと分かりづらいがノイズが多く、しかも何処にもピントが合っていない。また右上には車のブレーキライトが写り込んでしまっている。(EXIFデータは失念)






次回はホタルの光の撮影に続きます。
  






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