最初の一歩

へり

2020年04月01日 19:44

 エイプリルフールに気の利いた嘘をついて他人をほっこりさせる能力は自分には無い。本日2020年4月1日は、就職した長男の出社初日だった。


↑長男の最初のキャンプ。1998年、生後半年。もう今は無くなってしまった栃木県 中禅寺湖のキャンプ場。













 父親である私を渾身の右ストレートで殴ったあの日から、4年以上が過ぎた。私達夫婦にとって,子育てが一人終わった記念日と言っていい。とても嬉しく、誇らしかった。


 早朝、ネクタイの結び方を聞きに来た。就活の時に覚えたのに、だいぶ時間が経ったので上手く結べないようだ。

「このネクタイもらうよ。」私の勝負ネクタイを簡単に取られてしまった。
「就活の時にくれるって言ったよ!」言った覚え無いし。。。(汗



 街は桜満開で美しいのに、奇しくもその桜を見に行くことも許されない奇妙な世の中での社会人デビューとなった長男。



長く短い子育ての期間、

彼は「これ以上、どうやって頑張れって言うんだよ!俺に頑張れって言うな!!」って何度も私に言った。

 いつも同じ言葉を返す。「自分で自分の限界決めたら、そこで人生全部終わりなんだよ!!生きる意味なんてねーんだよ!!!」もちろん堂々巡りで答えなんか出ない。子育てで使っちゃいけない言葉をたくさん使った後悔もある。


 私は団塊Jr世代で古い価値観の持ち主だ。だから君の価値観も分からないし、理解したいとも思わない。けれども10年後にきっと似たような考えになる。もちろん、そんな事を息子に伝えたりしない。否定されるだけだから。




 君に初めて海を見せた日、君は何の恐怖心も無くスタスタと海に向かって走り出し、余りの冷たさに驚いて立ち止まった。今日の君は、あの日の立ち止まる直前の姿と重なる。





「置かれた場所で咲け」







 そのドアの向こうは、葵い海よりも遥かに深く、紺碧の空よりも果てしなく広い。種はどこに向かって飛んでいくのか今は到着する場所も分からないだろう。でもたどり着いた先で咲いてほしい。花は自然に咲くわけじゃない。自ら咲こうとしなければ咲きはしない。

 もちろん50手前の俺だって、ユリやバラの様に美しく咲いたわけじゃない。ブロック塀とアスファルトの隙間に咲いたタンポポみたいな毎日だ。


 私がいろんな局面で伝えて来た多くの事は、そのドアの向こうで簡単に学べる事ばかりだ。


 彼は自分の部屋で着替えて、そっけなく家を出て行ってしまった。種はどこに到着するのか、私達夫婦には分からない。けれどももちろん、もう心配もしていない。


2020年4月1日 父より








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