レビュー:武井バーナー301A

へり

2015年10月03日 14:43

親しみを込めて「武井君」と男性名詞で呼ばれるこのバーナー、自分は憎たらしいこのバーナーに君など付けたくない。



冬キャンプの必需品として人気の高い武井バーナー301A

 このバーナーは調理用では無く完全に暖房器具として使っている。したがって関東地方近隣でキャンプをしている限り、必要なのは12月、1月、2月の3か月間だけ。月1の頻度でキャンプしていると使用するのは年間わずか3回である。しかも自分はソロの場合、暖房も焚火だけで過ごしてしまう事が多いので、寒くても使わない日もある。

  自分が唯一持っている灯油を燃料とするバーナーだが、灯油を気化させて火を点ける為に事前にバーナー部の温度を上げる「プレヒート作業」が必要だ。私はこの作業が嫌いである。手間だからでは無い、いつ頃が丁度良い頃合いなのか全くわからないからである。


 タンク本体にプレヒート専用の「予熱器」と呼ばれるバーナーが付いている。ポンピングした後、バルブを廻して開け、吹き出す灯油にライターで着火する。青白い炎とオレンジの炎が半々になる程度にバルブ開度を調整し、しばらく放置する。

これがこのバーナーのプレヒート作業。冬場の寒い時期にプレヒートを待っている時間は5分程度でもえらく長く感じるし、じれったい。寒ければ寒い程プレヒートは長く必要だが、氷点下や風の強い日では5分どころでは無い、15分くらい必要な時もある。

プレヒートを待っている間、調子が悪くて火が点かないのか?このままプレヒートを続ければ点くのか?おおいに迷いながら不安な時間を過ごし、結局何もなかったように着火するところが、このバーナーの奥ゆかしいところである。




プレヒートを待ちきれずにメインの燃料バルブを開けてしまうとご存じ炎上である。

気化できない灯油がじょろっと出てしまうので、焚火とは質の異なる、黒い煙を伴った大げさな炎が上がってしまう。漏れた灯油が燃えきるまで火を消す方法は無いので意外と長い時間炎上し、気化していない灯油を燃やした独特の匂いが広がってしまうからキャンプサイトではちょっとした注目の的になってしまう。(気化した灯油なら殆ど匂いは出ない。)

ファミリーサイトに挟まれたソロのおっちゃんが、武井を炎上させる事は絶対に避けなければならないキャンプ場のタブーだ。

十分なプレヒート後にメインバルブを開ければいとも簡単に点火、直ぐに青白い炎の癒しと暖をとる事ができる。参天の中では十分に暖かい。






しかし、このバーナー、自分の個体だけなのかも知れないがメインの燃料バルブに癖がある。通常は時計まわりに一番閉めた状態が全閉、反時計まわりに一番開けた状態が全開だと思うが、私の個体は、一番閉めた状態から開けると直ぐに全開、更に開けると再び全閉するという不思議な仕様だ。

火加減の状態は実質的にON/OFFしか無く、調整はできないから常に全開。この火加減のできないバーナーを調理に使おうと思っても「お湯を沸かす」以外は面倒だ。だから暖房専用になってしまった。数年前に新品で購入した時からこの状態である。

 ポンピングは、空気を入れてもきつくならないので圧力が掛かっているのか手応えが分かりづらい。ついつい多くポンピングしてしまう。501Aのような圧力計が付いていないが、この手のバーナーは空気の入れ過ぎが非常に危険なので手ごたえよりも圧入回数で管理した方がいい。(取説上のポンピング回数は燃料8~9分目で50回である。)





Made in Japan。 SOTOのMUKAにしても、NANGAのオーロラにしても欧米製品には真似できない質感や完成度の高さを感じるが、武井には意味の無い金属加工精度の高さしか感じない。昭和の高度成長を経験したのに、無視して昭和初期の感覚のままボケッと過ごした出来の悪い子供のようだ。だから可愛いくて憎たらしい。

真鍮製のバーナーは他にもあるが、男道具の一流品的な所有欲を満たす力を不思議とこのバーナーは持っている。この道具のオーナーは細かい事をつべこべ言わずに、静かに点火する紳士で無口な対応が求められる。そして火が点いてしまえば冬キャンプで芯まで冷えた体を暖めるのに十分な温もりが得られる。



できるだけ詳細に自分の想いと武井301Aの状態をお伝えしたが、果たして読者はこのバーナーを欲しくなるだろうか?それとも要らなくなるだろうか?

そしてできればオーナーの皆様、私の301Aの燃料バルブは正常なのか教えて下さい。










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